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ユニファイドコマースとは?導入事例やメリットについて

ユニファイドコマースとは何か、Bonobos、Joe & the Juice、Superdry、マクドナルドの導入事例よりユニファイドコマースがもたらすビジネスメリットについて解説します。

25 7月, 2022
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オムニチャネルの先にあるユニファイドコマースとは?

まずは、ユニファイドコマースとは何か理解しましょう。ユニファイドコマースは、基本的にオムニチャネルの延長線上にあります。オムニチャネルを導入している企業はすでに、快適なチャネル間エクスペリエンスを顧客に提供していますが、多くの場合、舞台裏のシステムはつながっていません。ユニファイドコマースでは、在庫、顧客、決済の状況をまとめて確認できます。この結果、顧客に対する柔軟性を高め、自社に関する洞察を深めることができます。また、すべてがつながっているので、新しいチャネルを追加して新しいカスタマージャーニーをすばやくサポートでき、アジリティーも維持できます。

ユニファイドコマースが求められる背景

新型コロナウイルスの大流行は、オンラインショッピング、カーブサイドピックアップ、さらにはQRコードでのテーブル注文に至るまで、多くの消費者行動の変化を加速させました。これらに適応できた企業は、図らずも新しい基準を打ち立て、今ではそれを維持することが消費者から期待されています。場所を問わず一貫したエクスペリエンスを顧客に提供することが、かつてないほど重要になっています。

当社の2023リテールレポートによると、消費者の61%は、ブランド各社が複数のチャネルでの販売を続けることを期待しています。また70%は、店舗やウェブサイトで不快な思いをしたらそれ以降は買わないと答えており、最初から快適なエクスペリエンスを提供することの重要性が浮き彫りになりました。

ユニファイドコマースで企業の業績が9%向上

ユニファイドコマースは、カスタマーエクスペリエンスを向上させてレジリエンスを強化するために役立つ強力なツールです。当社のデータによると、51%の企業は、コロナ禍による実店舗での損失をオンライン店舗で相殺することができました。また47%が、ユニファイドコマースのメリットはカスタマーエクスペリエンスの向上であると答えています。この調査結果は、顧客が複数のチャネルで買い物する場合、使う金額が40%多くなるという過去の調査とも一致します。

ユニファイドコマースの導入方法

ユニファイドコマースとは何か、その必要性についてご理解いただけたと思います。では、実際にユニファイドコマースを導入するにはどうすれば良いのでしょうか。当社の単一の決済プラットフォームによるユニファイドコマース導入事例を交え説明します。

単一の決済プラットフォームは、本当の意味でつながった販売チャネルへの道を開きます。すべての決済情報が同じシステムに流れ込み、顧客がオンライン、アプリ、店舗、またはこの3つすべてのうちどれで購入するかが重要ではなくなるからです。顧客はエクスペリエンスを自由に楽しむ一方、企業は顧客のアクティビティーを一元的に概観することによる利益を享受できます。

下の図は、ユニファイドコマースへの当社のアプローチを示しています。基本的には、これらの一連の構成要素を組み合わせたり調和させたりして、さまざまなタッチポイント間でスムーズなエクスペリエンスを作り出すことができます。

用語:

・注文:(販売チャネルの観点で)顧客が注文する場所。自宅、移動中、対面が考えられます。 ・受領:商品やサービスの発送元または返品先。店舗、倉庫、またはこの2つの組み合わせが考えられます。 ・ 決済:決済方法。オンラインアプリ店内の決済端末、あるいはテキストやEメールで共有する決済用リンクが考えられます。

ユニファイドコマース導入事例とビジネスメリット

実際に、ユニファイドコマースを導入した企業はどのようなメリットを享受しているのでしょうか?3つの導入事例を交えながら説明します。

1. ユニファイドコマースが顧客の利便性を向上

この数年で消費者行動は劇変しました。以前はいろいろな意味で、生活がもっと定型化していました。朝8時に家を出て9時には会社に到着し、その途中でコーヒーをさっと買います。昼休みには軽くショッピングをすることもあります。買った商品を持って、あるいはお目当てのものが在庫切れだった場合には手ぶらで、デスクまで戻ります。昼になかった商品がもしかするとあるかもと、帰宅途中で別の店に立ち寄ることもあるかもしれません。

新型コロナウイルスの大流行以前でさえ、テクノロジーはこのように従来型のショッピングエクスペリエンスの制約から消費者を解き放っていました。消費者はすでに携帯電話でショッピングをしており、商品が在庫切れでもそれで諦めることはなくなっていました。現在は非常に多くの人が自宅で働き、オンラインショッピングをしているため、これらのトレンドは加速しています。ブランド各社は、オンラインチャネルとオフラインチャネルをつなげるエクスペリエンスを採用することで、より快適なエクスペリエンスを実現しています。

たとえば、Superdryは、在庫切れを原因とする売上損失をなくすことに注力しました。スタッフにiPadを配布し、店舗の購入客がオンライン在庫全体にアクセスできるようにしました。追加の色やサイズを注文したり、自宅に配送したりできます。決済は、Bluetooth経由でiPadにつながったモバイル端末を使って行います。

別の例として、McDonald’sでは、アプリで商品を閲覧して注文し、クーポンの引き換えも行うことで、行列に並ばずに済みます。商品をバスケットに追加した後、決済方法(クレジットカードやApple Payなど)を選択できます。McDonald’sの店舗内にいる場合は、チェックインしてレジ係に整理番号を見せるだけです。

そして、最後の例として、Watches of Switzerlandは、高級感あふれるカスタマーサービスをリモートで提供するために、ウェブサイトで予約可能なビデオ相談サービスを導入しました。顧客が商品の購入を希望する場合は、販売員がセキュアな決済リンクをチャットウィンドウに貼り付け、その場ですぐに取引が完了します。

2. ユニファイドコマースによる顧客ロイヤリティの強化

不確実な時代の中で、顧客ロイヤリティーの重要性はかつてなく増しています。

ロイヤリティーを向上させるために特に重要な要素はお得意様向けプログラムですが、これをきちんと理解するには注意が必要な場合があります。と言うのも、消費者の61%は、より良い特典を利用できるのであればブランドのアプリをダウンロードすると答えているものの、64%は、お得意様プログラムには改善が必要だと考えているからです。その理由としては、面倒な上に、財布がポイントカードでパンパンになるのに辟易しているということが考えられます。消費者の70%は、小売業者がプログラムの簡便さと有効性を向上させるためにテクノロジーを活用すべきだと感じています。

決済とロイヤリティーの関連付け

解決策の1つは、お得意様プログラムと顧客の決済カードを結び付けることです。決済とロイヤリティーの関連付けを支持している57%の消費者は、これを歓迎するでしょう。ただし、これを実現するには、決済データが適切につながっている必要があります。

44%の企業が、ユニファイドコマースのメリットは顧客ロイヤリティーの向上だと回答。

一般的な決済環境には、ゲートウェイからアクワイアラー、現地の販売時点情報管理プロバイダー、そしてリスク管理ソリューションに至るまで、さまざまなプロバイダーが関与します。関係者が非常に多く、それぞれ独自のデータと報告組織を持っているので、顧客の完全な全体像を描くのは不可能です。

これに対し、Adyenのプラットフォームはすべての決済を最初から最後まで管理できるように構築されています。データは記録され、1か所に保存されます。これにより、顧客がシンガポールでオンライン購入してもニューヨークの店舗で購入しても、簡単に顧客の行動を追跡し、ポイントを付与することができます。当社は、決済カードに一意の購入者整理番号を与えるトークン化によって、これを実現します。購入者整理番号は初回購入時に取得され、2回目以降の買い物を同じ顧客に紐付けるために使用されます。

男性向け衣料品小売業者のBonobosでは、複数のチャネルで顧客を認識できることがビジネスにおいては極めて重要だと考えています。最高エクスペリエンス責任者のDominique Essig氏は、次のように説明します。

「顧客は企業に対し、自分のことをもっと理解してほしいと思っています。顧客はオンラインやオフラインで何をしているのか、どうすればオンラインとオフラインをうまく融合させることができるか、どうすれば販売員は店舗でより深いコミュニケーションを取れるか、などの問題を考える必要があります。Adyenは、顧客がどのようなジャーニーを選択した場合でも、顧客像と顧客の希望をより明確に把握し、複数のデバイスにわたって顧客のプロフィールを活用することができるようにサポートしてくれます。」

3. ユニファイドコマースにより統合されたデータが成長の原動力に

新型コロナウイルスの大流行がもたらした教訓があるとすれば、アジリティーは必要不可欠だということでしょう。企業は迅速に対応し、必要に応じて方向転換できなければなりません。しかし、業務が複数のシステムとチャネルに散らばっていると、事態ははるかに難しくなります。それぞれ順番にアップデートする必要があり、古いシステムは変更に対応していない可能性もあるからです。

しかし、決済が一元管理されていれば、別の販売チャネルへの拡張がはるかに容易に行えます。セキュアな決済リンクを遠隔地の販売員に提供し、Eメールやチャットウィンドウで顧客と共有できます。また、非常に重要なポイントとして、すべての決済データを1か所に集めます。これにより、レポートが整理統合され、財務チームの仕事がはるかに楽になります。

たとえば、Joe & The Juiceは、コロナウイルスの流行が最初のピークを迎えたときに柔軟な姿勢ですばやく方向転換できました。戦略およびビジネス開発担当ヴァイスプレジデントのThomas Elvald氏は、次のように説明します。

「最初のロックダウン期間中、過去に事前注文アプリに対して行った投資が、投資額の10倍のリターンをもたらしました。当社は、コロナ禍中も休業しなかったイギリスで一握りのチェーン店の1つで、デジタル販売を10%から100%に増やしました。新型コロナウイルスの大流行はアプリの導入を加速させる一因となり、それが当社のデジタル変革を後押ししました。」

二次的効果として、現在ではアプリがカスタマーエクスペリエンスに不可欠な要素となっています。アプリを使えれば、オンラインとオフラインをシームレスに行き来し、どちらでもポイントを貯めることができます。また、すべてがバックエンドでつながっているため、決済場所にかかわらず決済データを簡単に照合できます。

ユニファイドコマースを構築する舞台裏の魔法

最良のテクノロジーパートナーは、舞台裏で静かに動き、提携先の顧客向けに魔法のような瞬間を作り出すと同時に、提携先が常に一歩先を進めるように支援します。これこそ、本当の意味でのユニファイドコマースを実現するために、すべてのチャネルと地域にまたがる単一の決済プラットフォームを当社が開発した理由です。このプラットフォームにより、顧客に簡単に柔軟性を提供し、顧客の好みを深く理解する一方で、アジリティーを維持することが可能になります。

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