ガイドとレポート

2020年以降の小売と決済:アジア太平洋地域の概要

活気あふれるアジア太平洋地域の小売・決済環境は、今後どうなるのでしょうか? AdyenのAPAC社長を務めるWarren Hayashiの案内で、未来を垣間見てみましょう。

Warren Hayashi  ·  President, Asia Pacific
8 1月, 2020
 ·  1 分

2019年が「オンラインと店舗での顧客体験」の年だったとすれば、2020年以降は、小売体験全般に焦点が当てられる時代になるでしょう。 Adyenは、アジア太平洋地域および世界各地の一流ブランドの決済パートナーとして、当社のユニファイドコマースサービスとビジネスへのアプローチについて話し合う機会が少なくありません。

一部のブランドは、自らをオンラインまたはオフラインのいずれかの分野に特徴付けますが、統合された観点から物事を考えることが極めて重要です。 その理由についてご説明します。

1. 摩擦のない小売体験におけるデジタル店舗と実店舗

過去数年間、小売業者は恐らく「購入者はチャネルを区別しない」という言葉を 何度も耳にしたことでしょう。 デジタル、オンライン、モバイルなどのチャネル別にスタッフをチーム分けする場合でも、最終的には購入者の体験やプロセスによって小売戦略が決定されることを覚えておく必要があります。

オンライン店舗と実店舗がどのように協力し合えば、シームレスな購入者体験が実現できるか、考えてみてください。 簡単に言えば、購入者がいる場所に自分が移動して、最善の買物体験を提供するのです。

オンライン小売業者は、ウェブサイトに引きこもる必要はありません。 成功を収めているいくつかのオンラインブランドがポップアップストアを開設したり、恒久的な実店舗を開いて事業を拡張したりして、購入者のために総合的なブランド体験を創り上げているケースも見られます。 その一例がAdyenの加盟店でシンガポールの小売業者であるLove, Bonitoです。 当初はオンライン限定の小売業者だった同社は、シンガポールだけでなくマレーシア、インドネシア、カンボジア、香港でも事業を展開するオムニチャネル・ブランドに成長しました。 顧客中心のビジネスアプローチが功を奏し、購入者はオンラインでも、実店舗での買い物のときもクリック&コレクト、ロイヤルティプログラムやストアクレジットを喜んで利用しています。

同様に、店舗はもはや単に商品を購入する場所ではなくなりました。消費者がブランドに慣れ親しみ、体験するための現実世界のスペースになったのです。 小売業者は、このスペースに決済を編み込んで、店舗で購入がシームレスに行われるようにする方法について考える必要があります。

そのいくつかの例としては、店舗体験のパーソナライズ、モバイルPOS決済(mPOS)を導入して店内のどこでも支払い可能にすることや、非接触型決済手段を使って顧客がタップするだけで支払いを終えられるようにすることなどが挙げられます。

これらの方策を実施する場合、ユニファイドコマース環境を整えておくことで、効果が劇的に高まります。 オンライン、実店舗、モバイルのいずれかを問わず、統合された視点で顧客を捉えることができるため、小売業者は買物客をいつでも顧客に変えることが可能です。 突き詰めて言えば、小売業者が収益を高めるためには、購入者の体験とプロセスのあらゆる時点において、迅速で摩擦のない販売コンバージョンを実現する必要があります。

2. ショッピングイベントの人気の高まり

2020年の第1四半期が始まったところで、今後の四半期について計画を立てておくのも良い考えだと思います。 第4四半期は、ゴールデンウィーク、独身者の日、ブラックフライデー、サイバーウィークエンド、年末のホリデーシーズンなど、ショッピングイベントが続くため、小売業者にとっては黄金の四半期です。 独身者の日は、第4四半期に追加された最新の小売イベントですが、今後も新たなイベントが発案されることでしょう。

Eコマースの巨大企業であるアリババが2009年に開始した独身者の日は、知らない人はいないイベントになっています。 昨年の独身者の日には、アリババのショッピングサイトでは13億件を超える受注があり、24時間だけで合計380米ドルの売上を記録しました。

独身者の日やショッピング・フェスティバルの人気の高まりは、売上の増加と新たな決済ニーズをもたらす

注目に値するもう一つの事柄は、こうした影響を受けた他の小売業者が独身者の日に便乗するだけでなく、11月11日という日付からヒントを得て、新たなショッピングイベントを考案していることです。 例えば、12月12日、10月10日、9月9日などで、アジアの一部の小売業者の間で見受けられます。 オーストラリアと米国では、「今買って、後で支払う」決済方法であるAfterpayの人気が高まっていることを受けて、8月14日と15日が「Afterpayの日」となりました。

これらのイベント開催には多額のマーケティング費用が投じられており、小売業者は得意客だけでなく新規顧客からも、通常を上回る売上高が期待できます。 これらのイベントはオンライン、オフラインの双方を網羅し、国境を越えた売買が行われることも少なくありません。

機会費用の大きさから考えると、これらのイベントにおいて決済が重要な検討事項であることは間違いありません。 これらのショッピングイベントが世界中で広く実施されるようになり、買物シーズンが第4四半期より前に始まる可能性もある中で、小売業者が高い業績、スピードと信頼性を実現できるグローバルな決済パートナーを見つけるのは理にかなったことです。

3. 次の大きなウォレット

繰り返しになりますが、これはシームレスなデジタル決済と顧客ロイヤルティを実現する小売業者とEコマースのプラットフォームにより推進されます。 カードとモバイルウォレットを用いた非接触型決済の普及は世界中で見られる現象ですが、特にモバイル機器の普及率の高いアジア太平洋地域で明らかです。 モバイルを最もよく利用する中国の購入者をターゲットとする場合、小売業者がAliPay、WeChat Payなどのウォレットを含む中国の決済手段を提供する必要があることは、言うまでもありません。

興味深いことに、ウォレットはインドネシア、ベトナム、フィリピンなど、銀行口座を持たない人が人口の大きな割合を占める多数の東南アジア諸国において、優れた代替決済手段でもあります。 ウォレットは、現金に代わって安全なトランザクションを提供し、オンラインとオフラインの決済をつなげるのに役立ちます。 例えば、ベトナムではデジタル・サブスクリプションやストリーミングサービスにウォレット決済を使うことができます。 シンガポールでは、ほとんどの人が銀行口座を1つ以上持っていますが、ウォレットがロイヤルティプログラムの優れた選択肢になっています。 GrabPayFave Payがその良い例です。

モバイルウォレットの普及を目の当たりにし、多くの人は次に来る大きなウォレットについて、思いを巡らせています。 この活気ある環境で他社の一歩先を行くためには、Adyenの決済プラットフォームを利用して、常に最新のウォレットを含む主要な現地決済手段を提供することを検討するよう、小売業者の皆様にお勧めします。

4. 買物の仕方が増えるにつれて、支払い方法も増える

アジア太平洋地域におけるEコマース環境では競争が激化しているため、小売業者は絶えずイノベーションに努めなければなりません。 一部のオンライン小売業者は、買物客が「購入する前に試着できる」ようにし、実店舗での買物体験をオンラインでも提供しています。 例えば、買物客は小売業者に商品を3点注文できます。 顧客は気に入った商品の代金だけを支払い、他の2点は返送します。 Adyenは「オープンインボイス」によって、このサービスをお手伝いしています。

「後払い」も、特に若い世代の購入者の間で非常に人気が高まっています。 分割払いを利用すると、購入者は柔軟性を得ることができますが、これは電子機器や家具などの高額商品以外にも使われています。

また、コンテクスチュアルコマースも普及が進みつつあるため、購入・支払い方法が増えています。 いくつかのブランドは、チャットボット、運用型広告、スマートスピーカー、Pay by Linkなどを利用し、これに対応しています。Pay by Link(リンク決済)とは、購入者がクリックして商品やサービスの支払いを行える固有のリンクです。購入者の買物体験の中でシームレスにつながっているため、どのデバイスからでも、脱落することなく購入プロセスを続行できます。

小売と小売決済の世界では、このように数多くの新たな動きが進んでいるため、2020年は貴社のビジネスに次のレベルの成長をもたらす、エキサイティングな一年になりそうです。 計画作りを早めに始めましょう。当社のチームに問い合わせて、貴社ブランドに最適な小売決済ソリューションを今すぐ見つけてはいかがでしょうか。



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