導入事例

FCバイエルンミュンヘンとAdyen:ゲームチェンジャーとなる決済手段で、感動的なファン体験を実現

FCバイエルンミュンヘン(以下、FCバイエルン)は、会員数30万人を誇る世界最大のサッカークラブです。そのため、特に試合が行われる日には、ファン体験の一秒一秒が勝負となります。Adyenの革新的な決済ソリューションを活用し、感動的なファン体験を実現したFCバイエルンの戦術をご紹介します。

16 10月, 2023
 ·  8 分

スタジアムのフロアが揺れ、7万5千人の熱狂的なファンの轟くような歓声が通路の隅々まで響き渡ります。しばらくして目に映るのは、美しいピッチと象徴的な赤と白のスタンド。そして鳥肌が立つキックオフの瞬間———。FCバイエルンは、間違いなく、ドイツサッカーの光り輝く道標としてそびえ立っており、その比類ないスポーツ精神は世界中のファンを魅了しています。

FCバイエルンのミッションステートメントには、次のような決意が込められています。「ファンのことを考え、ファンのために考え、ファンのように考える。」彼らは、比類ないファン体験を創造することにたゆまず取り組んでいます。こうした卓越性の絶え間ない追求が、FCバイエルンとAdyenのダイナミックなパートナーシップにつながりました。

それにより生まれたのが、ファン体験を向上させるだけでなく、オンラインと実店舗の両方でクラブの野心的な成長計画を促進する、革新的な決済ソリューションです。

FCバイエルンにおける決済の重要な役割と、Adyenとの提携が成功したことについて、執行副会長兼最高財務責任者(CFO)のMichael Diederich氏、およびマーチャンダイジング&ライセンシング担当取締役・Authorized OfficerのPeter Romics氏にお尋ねしました。

ピッチ内外での高い複雑性

FCバイエルンは、常にサッカー界のエリートクラブ。長年にわたり、サッカー界で最も価値のあるブランドのトップ10にランクインしています。

また、FCバイエルンは、スリリングな試合だけでなく、クラブの本拠地であるAllianz Arenaスタジアムの観覧、ミュージアムの見学など、さまざまな体験を提供しています。さらに、Eコマースでも実店舗内でも、ジャージから食品、キッチン用品まで、膨大なグッズをラインナップ。FCバイエルン独自の配信プラットフォーム「FC Bayern TV PLUS」も、定額制で利用可能です。

FCバイエルンは、単なるサッカークラブではなく、総合的なチケットプロバイダー、ライフスタイルブランド、オムニチャネルの小売企業、そして配信プラットフォームとして事業を展開しています。しかし、この多様なポートフォリオは、特に決済処理の領域で、独自の課題ももたらしています。

Peter Romics氏は次のように述べています。「以前、私たちは決済パートナー数社と提携していました。その複雑さを解消したかったのです。」

新しい決済パートナーを探すにあたり、FCバイエルンには重要な条件がありました。それは、オンラインと実店舗のシームレスな決済処理を実現する統合グローバルパートナーであること、モバイル決済機能を備えた高性能な決済端末を導入すること、さらに革新、拡張性、効率性への確固たるコミットメント。その結果、完璧なパートナーとして、Adyenに白羽の矢が立ちました。

Michael Diederich氏は、次のように述べています。「この提携は、非常に意義深いものです。なぜなら、私たちとともに決済というテーマを掘り下げ、それをとても柔軟、迅速、的確に実行してくれるパートナーを見つけることができたからです。」

常に決済をコントロール

サッカーとは、経験、伝統、情熱の結晶です。これこそが、FCバイエルンが従来の小売企業と異なる点です。「私たちのお客様=クラブのファンですから、他の小売企業よりも感情的なつながりがはるかに強いのです」とPeter Romics氏は語ります。

モバイル決済体験

2020年末、FCバイエルンは、ミュンヘン中心部のマリエン広場(Allianz Arenaの店舗の隣)にFCバイエルンワールドをオープンしました。

Peter Romics氏は次のように述べています。「24時間365日、FCバイエルンのブランドを体験してもらえる場所を作りたかったのです。そのため、1000㎡の旗艦店の隣にブティックホテル、2つのレストラン、および会議用の屋上ペントハウスを統合しました。パートナー企業との協業とデジタル化が、大きな役割を果たしています。」

こうしたDX戦略の一環が、モバイル決済体験を重視した、実店舗内でのチェックアウトプロセスの強化です。「私たちは特別なイベントや試合の日のことを考え、AMS1モバイル決済端末を選択しました。」

「AMS1のおかげで、決済を行う場所を必要に応じて柔軟に拡張し、20ヶ所、あるいは30ヶ所で行えるようになりました。この手のひらサイズの決済端末を使用すれば、スタッフがキャッシュレス取引を迅速に処理できます」とPeter Romics氏は付け加えます。

一秒一秒を大切に

FCバイエルンを間近に体験するためには、Allianz Arenaへの訪問が欠かせません。試合開催日には7万5千人の熱狂的なファンがスタジアムに押し寄せ、フードスタンドやドリンクカウンター、ファンショップは大混雑となります。このように顧客が急増するタイミングでもフラストレーションを回避し、売上を最大化する上でカギとなるのが、効果的な来場者管理です。

「私たちにとって、スピードがすべて。日常業務でもスピードは重要ですが、試合の日にはより重要になります」とPeter Romics氏は説明します。「誰も必要以上に列に並びたくありませんから。」

Allianz Arenaでのスピードを上げるために、FCバイエルンは、ケータリング会社のDO & COと協力し、レジのシステムを一新することを決めました。

Michael Diederich氏は次のように述べています。「チームの新しいストライカーをお披露目する週末でしたが、このシステムの改革もシームレスに実行され、お客様にも気づかれずに完了しました。しかも、Adyenでは、以前のシステムよりも1秒半から2秒も速く個々の取引を処理することが可能になりました。」

わずかな時間のようですが、試合当日には非常に大きな意味を持ちます。Peter Romics氏は、「この貴重な2秒間で、ファンはより早く観客席へ戻れるため、顧客体験の向上につながるのです」と説明します。

ローカルな決済とグローバルな成長

FCバイエルンは本拠地のミュンヘンにしっかりと根付いているものの、そのリーチは地理的な境界を越え、オンライン展開を通じて世界中のファンの心をつかんでいます。「Eコマース分野における私たちの拡大戦略は、とりわけ国際化に重点を置いています。目標は、2024年半ばまでに、200か国以上にFCバイエルンの商品をお届けすることです」とPeter Romics氏は述べています。

世界のファン層の急拡大に伴い、チェックアウトプロセスのローカライズが必要だという認識にも至りました。「以前は、一般的な決済方法を提供していました。現在では、現地で好まれている決済方法も必ず利用可能にしています」とPeter Romics氏は説明します。

決済方法の拡大は、ファン体験を向上させ、結果としてFCバイエルンに価値ある利益をもたらします。「これが重要である理由は、ファンの信頼を高め、購入プロセスをより簡単にし、購入キャンセルを減らして売上を伸ばすことにつながるからです」とPeter Romics氏。「例えば、中国のファンは、現在ではAlipayを利用し、ジャージやその他の商品をより簡単に購入することができるようになりました。」

クロスチャネルのファン体験

各販売チャネルにはそれぞれ独自の要件と特徴がありますが、他方、一貫して維持しなければならない点もあります。それは、FCバイエルンのおなじみの「Mia san Mia(ミア・ザン・ミア、私たちは私たちだ)」精神です。

「ファンは、単なる買い物にとどまらない体験を望んでいます。注文から配送、決済までのプロセスをシームレスに行えるようにすることが極めて重要です」とMichael Diederich氏は説明します。

しかし実際には、さまざまな販売チャネルを統合する作業はとても困難です。オペレーションを合理化し、こうした複雑さを簡素化するために、FCバイエルンは、Adyenのユニファイドコマースソリューションを戦略的に導入しました。

すべての決済の向こう側にはファンがいる

FCバイエルンは、現在では真のオムニチャネル企業としての地位を確立しています。しかしAdyenと提携する以前は、さまざまな販売チャネルが独立して運営されていたため、結果として不必要なほど複雑で、貴重なインサイトにアクセスできない状況が続いていました。Michael Diederich氏は、こうした状況がどう変化したかを次のように語ります。

「ユニファイドコマースのおかげで、すべての決済プロセスが単一のプラットフォームに統合され、私たちは非常に素晴らしい価値あるツールを利用できるようになりました。現在では、お客様の多様な行動パターンを観察し、システムをより細かく制御し、あらゆる利用状況についてインサイトを入手することができます。こうした点で、ユニファイドコマースは極めて特別なツールだと言えます。」

迅速な寄付のサポート

良い提携は、共通の土台があってこそ機能します。FCバイエルンとAdyenは、革新志向という共通点があるほか、社会問題への関心も共有しています。

結果的に、両社のコラボレーションにAdyen Givingを取り入れることがすぐに決まりました。Adyen Givingは、お客様の商品購入後に企業が寄付の呼びかけを行うサービスです。また、購入と寄付を切り離すことで、照合と報告のプロセスを合理化しています。

Michael Diederich氏は次のように述べています。「Adyen Givingの利用により、ファンの皆様は、商品購入時にちょっとした良いことをする機会を得ます。Adyenが関連コストを負担するため、寄付金の100%が慈善団体に寄付されるという事実も相まって、非常に特別なサービスとなっています。社会的責任を果たしていきたいというFCバイエルンの思いと完全に合致しており、私たちもとても満足しています。」

革新的なパートナー

Adyenは、2023年からFCバイエルンの公式決済ソリューションパートナーとなっています。この提携は、サッカー界における新たな決済の標準を定めると同時に、FCバイエルンの世界的な成長をサポートしています。

Peter Romics氏は語ります。「FCバイエルンは、ピッチの中だけでなく、ピッチの外でも最高の存在でありたいと考えています。私たちには野心的な目標があるため、革新的なパートナーが必要です。だからこそ、Adyenを選びました。実際、目標へ素早く取り組むことができ、ありがたく思っています。」


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