ガイドとレポート

繁忙期の不正利用対策ガイド

繁忙期の不正行為回避戦略を成功に導く、包括的なチェックリストをご用意しました。

30 8月, 2023
 ·  3 分

年末年始が迫っています。Eコマース事業者にとっては、オンラインショッピングの急増に備えておきたい時期です。しかし、売り上げの増加と同時に、繁忙期には不正利用の対処という課題も生じます。この時期を無事に乗り越えられるよう、いくつかの実用的なアドバイスと便利なチェックリストをまとめました。

不正利用検知の設定とルール

最適化と保守:すでに堅牢な不正利用検知システムをお持ちなら、パニックになる必要はありません。既存の設定を全面的に見直すのではなく、繁忙期の消費行動にあわせて最適化すればよいのです。不正利用に対する設定を適切に行うことで、承認率が向上し、不正利用/チャージバック率が低下します。これは、AdyenのダッシュボードのInsights画面で監視できます。

速度ルールの見直し:繁忙期には、家族や友人のためのギフトなど、ショッピングの頻度が増加します。これに対応するため、速度ルールを緩めることを検討してください。例えば、通常のルール下で、ある一定の期間内に許可されるトランザクションが2~3件であるならば、一時的にこの件数を増やしましょう。

一貫性ルールの緩和:一貫性ルールは、配送先と請求先の住所、および購入者とイシュアーの国を照合するものですが、繁忙期中は、請求先とは異なる住所にギフトが贈られるため、これらのチェックで誤判定が生じる可能性があります。一貫性ルールを緩和し、ブロックするしきい値を下げてください。

Shopper DNAの柔軟性:Shopper DNAでは、トランザクションレベルではなく購入者のレベルでリスクをとらえるため、ルールを緩和して、購入者がある一定の期間に行えるトランザクションを増やすことをお勧めします。特定の期間内で承認されている金額に厳しいしきい値がある場合も、その期間中はもっと高額の取引ができるようにすると有益な場合があります。

繁忙期のプロファイル作成:これらのルール調整を実装するために、既存のリスクプロファイルに基づいて、もっと緩い設定で新たなリスクプロファイルを作成することをお勧めします。繁忙期中はこの緩いプロファイルを割り当てます。異常な行動が疑われる場合は、簡単に元のリスクプロファイルに戻すことができます。

以下のチェックリストをお役立てください:

  • 不正行為に対する既存の設定を維持し、購入者の行動にフォーカスする。

  • 適切な設定 = 高い承認率、低い不正行為/チャージバック率

  • 常連の購入者のコンバージョンと承認の増加に重点を置く。

  • 繁忙期中の速度ルールを通常より緩く調整する。

  • 誤判定を回避するため、一貫性ルールを緩和する。

  • Shopper DNAでは、購入者のレベルでのリスク評価を優先し、特定の期間内での複数トランザクションに対する制限を緩和する。

  • 繁忙期向けに通常と異なる緩いリスクプロファイルを作成し、必要に応じて容易に元に戻すことが可能。

コンバージョンの最適化

3Dセキュアの理解:Adyenでは、欧州経済領域(EEA)とイギリスでの2要素認証に3Dセキュアを使用しています。これによって、欧州では不正利用からの保護とライアビリティシフトが実現する一方で、決済プロセスでのフリクションが増加し、承認率が低下する可能性があります。

免除設定の活用:欧州では、繁忙期中にコンバージョンを促進するために、免除設定が活用されています。それにより、低額のトランザクション(30ユーロ未満)や、リスクが低いとみなされるトランザクションに対しては、強力な顧客認証をスキップします。常連の購入者や低リスクの場合にも、免除をリクエストできます。

異常な行動の監視:免除で有利になるトランザクションを監視します。免除によりコンバージョンは増加しますが、ある程度のリスクも伴います。この期間中、アクティビティに異常がないか、疑わしいものがないか、継続的に監視しましょう。

以下のチェックリストをお役立てください:

  • コンバージョンやライアビリティシフトに対する3Dセキュアの影響を理解する。

  • 3Dセキュアでの免除設定を活用する。

  • 低額取引やリスクの低いトランザクションに対しては、3Dセキュアをスキップする(ただしチャージバックリスクは加盟店に残る点に注意)。

  • 常連の購入者やリスクが低い場合には3Dセキュアをスキップする(ただしチャージバックリスクは加盟店に残る点に注意)。

  • 免除設定の利用時には異常な行動やリスクを監視する。

監視と分析

過去からの学び:繁忙期になる前に、前年同時期のパフォーマンスを見直しましょう。例えば、前年の1月に受け取ったチャージバックと不正行為の通知を分析し、改善できる領域を特定します。

リアルタイムの監視:繁忙期中は、リスクおよび異議申立ダッシュボードで拒否率を注意深く監視します。承認率の問題がイシュアーの拒否、不正行為による拒否、3Dセキュアのどれに起因するかを判断します。

必要に応じた調整:不正利用による拒否が過度に生じている場合は、それらの拒否の原因となっているルールを調査し、適宜調整します。

常に警戒:不正利用の通知やチャージバックには常に注意を払いましょう。年末年始のトラフィック増加の影響により、繁忙期後も不正利用やチャージバックの数がやや多くなる可能性があります。

以下のチェックリストをお役立てください:

  • 前年の繁忙期のパフォーマンスを見直し、知見を得る。

  • 前年1月のチャージバックと不正利用通知を分析する。

  • リスクおよび異議申立ダッシュボードで拒否率を監視する。

  • 承認率に影響を与えている要因(イシュアー、不正行為、3DS)を特定する。

  • 不正利用による拒否の過度な発生の原因となっているルールを調整する。

  • 不正利用通知やチャージバックに注意する。

  • 繁忙期後の不正利用数の増加が予想される。比率は後で正規化される。

まとめ

以上のチェックリストを参考にしていただくと、繁忙期の不正利用に対処する準備が整い、顧客のスムーズな購入体験も確保できます。重要なのは、セキュリティと利便性の適切なバランスを取ることです。

皆様のビジネスの繁忙期が実り多いものとなりますようにお祈りしております。また、何かご懸念のことがありましたら、いつでもAdyenにご相談ください。


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