Lindt & Sprüngli：イノベーションと伝統が交わる企業

毎年春が訪れると、晴れ渡った空が広がり、初咲きの花が開き、緑の木々が芽吹きます。それは、多くの人々に愛されるLindtのゴールドバニーが店の棚に並ぶ時期でもあります。赤いリボンとゴールドの鈴が付いたこの象徴的なウサギ型チョコレートは、この70年間にわたってイースターの代名詞であり続けています。しかし、Lindt & Sprüngliのサクセスストーリーは、はるか昔にさかのぼります。すべては1845年、チューリッヒの旧市街にある小さな菓子店で始まりました。

そこから、素晴らしいチョコレートを欧州と米国の11の生産施設で製造し、世界中の120か国以上で販売するにいたるまでには、変化にスピーディーかつ上手に適応する必要がありました。

それでは、Lindt & Sprüngliの177年にわたる長期成長の背景には何があるのでしょうか？同社はいかにしてデジタル化に対応し、最先端のテクノロジーと決済機能はどのような役割を果たしているのでしょうか？この記事では、同社のサクセスストーリーと、Adyenとの長年のパートナーシップについて紹介します。

Lindt & Sprüngliの伝統的なチョコレート作りの真髄をとらえた場面を挙げるなら、こうなるでしょう。その菓子店のドアがぱっと開くと、チョコレートの香りが辺りに立ち込め、白いエプロンを着けた熟練のチョコレート職人が美しいプラリーヌを巧みにデコレーションしている様子が目に入ります。このシンプルな場面は、同社に受け継がれる伝統をはっきり示すものです。

しかし、伝統が同社のサクセスストーリーの核心をなす一方で、同社は常にイノベーションとともに歩んできました。チョコレート製造に革命を起こしたコンチング工程を1879年に生み出したのは、同社の創業者であるRodolphe Lindtです。この革新的な手法は、リンツをはじめとする世界中のチョコレート製造企業で今なお用いられています。

イノベーションと伝統的な職人技の融合により、Lindt & Sprüngliの重要な部分が形作られています。同社は高品質なカカオ豆の選別、配合、ローストからチョコレートのコンチング、製品の包装まで、すべてを自社で行う数少ないチョコレート製造企業の1つです。

どの企業においても、イノベーションは今や製造工程にとどまらず、販売と流通にも極めて重要な役割を果たしています。Lindt & Sprüngliは顧客に最高のサービスを届けようと、小売業における最新のテクノロジーと進歩を活用しています。また、同社はオンラインと世界各地の店舗でチョコレートを販売しているため、マルチチャネルのスムーズな販売を実現することが、成長の構想に不可欠な要素となっていました。

Lindt & Sprüngliのビジネス開発マネージャーであるMarcel Grabbe氏は次のように述べています。「企業が今日直面する大きな課題は、高まり続けるデジタル化の波に対応することと、個々の販売チャネルを1つのオムニチャネルに統合することです。オンラインであれ、世界中に500店以上ある当社店舗のどこかであれ、すべてのタッチポイントで、パーソナライズされた一貫した購買体験を顧客に提供することが絶対条件になっています。」

Lindt & SprüngliにとってAdyenとの提携は、この課題に対応するうえで非常に重要となっており、顧客の変化するニーズと要望を第一に考える同社の姿勢を証明するものでもあります。「Adyen社はサービス提供地域がとても広く、グローバルな決済手段と現地決済手段に幅広く対応 しているうえ、迅速で信頼性の高いサービスを提供しているという点が、提携の決め手となりました。」とGrabbe氏は語ります。

Lindt & Sprüngliは初期のころから、グローバルな成長を持続させるには地域別の決済ニーズへの対応が不可欠だと認識していました。しかし、これを実際に行うのは簡単ではありません。それぞれの国で、好まれる決済方法、規制、不正利用リスクが異なるからです。

「Adyen社は現在、10か国で当社の代行を務めてくれています。これが年末までに2倍になる予定です。」とGrabbe氏は話します。「Adyen社との国際契約のおかげで、当社の世界中でのトランザクション量をまとめやすくなり、決済処理業務の複雑性を大幅に軽減することが可能になっています。また、それぞれの国で現地のパートナーを利用するよりも明らかに費用対効果が高いです。」

さらにLindt & Sprüngliは、世界的なチップセット不足とそれに伴う端末の供給不足の影響にも対処するなかで、Adyenとのパートナーシップが大いに役立っています。「Adyen社との提携により、これまで一貫して、この課題をすべての市場でタイムリーかつ円滑に解決できています。」とGrabbe氏は言います。「そしてこの提携で、当社は成長計画を狙いどおりの方法で推進することができます。」

Lindt & Sprüngliは175年を超える歴史のなかで、顧客に喜びと驚きをもたらす新しい方法を追求し続けています。

同社は、最新テクノロジーの活用が顧客との深く長い関係を築くための機会になると考えています。たとえばAdyenとのパートナーシップは、同社が購入に関する行動とパターンを把握するうえでの決済データの可能性を明らかにし、顧客体験を向上するのに貢献しました。

信頼性の高い決済データがあれば、企業は販売チャネルの成果や顧客の購入行動をより詳細に把握できます。決済データを活用する加盟店は、人気商品の特定、商品の人気度に応じた在庫管理、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンの展開を行うことができ、購入者のニーズに基づくデータドリブンな意思決定が可能になります。

「今後、決済データをさらに活用していこうと考えています。現在はAdyen社の匿名決済データを当社のグローバルビジネスインテリジェンスツールに統合する作業を進めており、その結果を楽しみにしています。」とGrabbe氏は話します。

177年もの長期にわたる成長を、伝統との関わりを失うことなく実現していると断言できる企業はほとんどありません。伝統的な職人技を革新的な方法で世界各地の顧客に届けるLindt & Sprüngliの取り組みを、Adyenが柔軟なテクノロジーパートナーとしてサポートできることを誇りに思います。