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2025年版:APAC地域の最新決済トレンド5選

ZALORA、Eats365、Klookなどの先進ブランドは、サステナブル消費の拡大やリテールツーリズムの復活、不正対策などにどう対応しているのか、わかりやすく解説します。

2025年3月9日
 ·  7 分

APACで進化を続ける決済の姿

テクノロジー、金融、エネルギー分野への投資が急増するなか、アジア太平洋(APAC)地域は今、かつてない成長を遂げています。この活発な経済活動は、企業が顧客体験を革新し、将来に向けて進化するための理想的な土壌となっています。

しかし、これからの5年間で最大の成果を得るには、今どこに注力すべきなのでしょうか?

Adyenの東南アジアおよび香港地域のゼネラルマネージャーを務めるBen Wongが、2025年にAPAC市場を形成する主要な決済トレンドと、それにどう対応すれば企業が一歩先を行けるのかについて語ります。

「この地域の加盟店と話をする中で明らかなのは、顧客の期待値がこれまでになく急速に進化しているという点です。小売業者は、ますますデジタル化が進み、キャッシュレスでシームレスな決済環境に適応する必要があります。 イノベーションを積極的に取り入れる企業は成功し、そうでない企業は、より柔軟で快適な決済体験を提供できる競合に顧客を奪われる可能性があります。」

その上で、Ben Wongは2025年のAPAC市場を形づくる5つの主要な決済トレンドを次のように挙げています:

  1. 多様化するチェックアウトの選択肢

  2. 組み込み型決済がもたらす圧倒的な可能性

  3. 「志」を持つブランドが市場をリード

  4. 拡大するトラベルリテール

  5. AIで進化する不正対策

それでは、それぞれのトレンドを詳しく見ていきましょう。

多様化するチェックアウトの選択肢

シンガポールでは56%、香港では68%の消費者が、決済手段の選択肢が少ない場合、店舗での購入を途中でやめるというデータがあります。 いまや顧客にとって「選べる決済手段」は当然の期待であり、それに応える柔軟性が企業には求められています。

こうした背景を受け、「BNPL(後払い決済)」 や デジタルウォレットとのスムーズな連携など、複数の決済手段を導入する企業が増加中です。 特に、地域ごとの決済ニーズに迅速に対応できる企業は、顧客の期待を上回る体験を提供でき、コンバージョン率の最大化にもつながっています。

この傾向は特に、新興市場で顕著です。こうした国々では、デジタルウォレットが主流の決済手段となっており、現地ニーズに合わせた対応が不可欠です。一方で、成熟市場では、即時チェックアウト(クリックや自動入力で、決済フローをスピーディに完了できる機能)や継続課金(サブスク決済)の導入が進んでおり、利便性の向上や顧客ロイヤルティの強化につながっています。

たとえば、シンガポールのカードおよび決済市場では、2024年のカード決済額は1,207億ドルに達すると見込まれ、今後2024年〜2028年の間に年平均成長率11%以上で拡大すると予測されています。

このような背景から、タッチ決済などのキャッシュレス・ソリューションは大きな効果を発揮します。タッチ決済は、専用端末に頼らず、スマートフォン(iPhoneまたは対応Android)をそのまま非接触決済端末として使える仕組みです。これは、短時間で導入可能で、他の業務システムとの連携もスムーズ。モバイルで安全かつ柔軟に非接触決済を受け付けられるため、小売・サービス業の現場でも急速に普及しています。

A couple at a jewelry store counter paying for earrings by tapping their card on Adyen's P400 terminal.

組み込み型決済がもたらす圧倒的な可能性

Boston Consulting Group(BCG)との共同レポートによると、主要なプラットフォーム企業では、売上の50%以上が「組み込み型決済」によって生み出されているという結果が出ています。 APAC地域のプラットフォーム企業もこの流れを積極的に取り入れており、自社のエコシステムに決済機能をスムーズに組み込むことで、より効率的でビジネスニーズに最適化された決済体験を提供しています。

その好例が、レストラン向けPOSソリューションを提供する Eats365 です。Eats365は「365pay」というサービスを通じて、Adyenの決済テクノロジーを統合し、飲食店向けにオムニチャネルの決済機能を提供しています。これにより、対面カウンター、オンライン注文、セルフサービスのキオスク端末など、あらゆる接点で一貫したキャッシュレス決済を実現しています。

この「組み込み型決済」により、Eats365の導入企業は以下のようなメリットを得ています:

  • 顧客にとって快適な非接触&シームレスな決済体験

  • 取引データの自動集計・突合による店舗運営の効率化

  • 国内外の多様な決済手段への対応による事業拡大の柔軟性

特に、高額な店舗賃料と人手不足によって利益率が圧迫されやすい香港市場において、こうしたテクノロジーの導入は、飲食事業者が生き残り、さらなる成長を遂げる上で不可欠といえます。

Adyen for Platforms の詳細はこちら >

「志(パーパス)」を持つブランドが市場をリード

Nielsenの調査によると、APAC地域の消費者の81%が、「企業は環境改善に積極的に取り組むべき」と強く考えていることが分かりました。これは、各国政府による「サステナビリティ(持続可能性)」への政策的な後押しとも連動しています:

こうした流れの中で、APAC地域のブランドも続々と行動を開始しています。たとえば:

  • 環境負荷の少ない素材の採用

  • 過剰包装の削減

  • リセール(再販)・レンタル・リサイクルといったサーキュラーエコノミー(循環型経済)モデルの導入

こうした取り組みは、単なる環境意識にとどまりません。APACでは、社会課題にも目を向ける消費者(特にZ世代)が増加しており、多くの人が自分の買い物に意味や価値を求めるようになっています。実際に、以下のような調査結果も出ています:

  • シンガポールでは40%の消費者、香港では36%が、企業のサステナビリティや社会的責任への取り組みの「透明性」を求めている

  • Z世代の40%が、「商品がどこで、どのように作られたのか」が明確であれば、より高い金額を払ってもよいと回答

こうした変化に対し、ブランド側も積極的に対応しています。東南アジアを代表するファッションECプラットフォームの ZALORA は、「People + Planet Positive」というビジョンのもと、気候変動対策、循環型経済の推進、公正で倫理的な調達(働環境・人権・環境負荷などに配慮して製品や素材を仕入れること)に注力しています。

また、寄付機能をチェックアウト時に組み込むことで、顧客が「購入を通じて社会貢献できる」仕組みを構築しているブランドも増えています。顧客はすでに決済情報を入力済みのため、ワンクリックでスムーズに寄付が完了します。これをスケールさせることで、大きなインパクトが生まれます。たとえば、Adyenの提供するGivingでは、これまでに約2,500万ユーロ相当の寄付が集まっています。

Giving の詳細はこちら >

A terminal with a green check mark, surrounded by positive change, thanks to donations.

拡大するトラベルリテール

2025年の旅行市場は4,900億米ドル規模に達する見込みで、2019年比で10%増となると予測されています。この回復は、APACにおける決済トレンドが、トラベルリテール(旅行先での購買)の分野にも広がっていることを示しています。

この成長を後押ししているのが、国内・海外旅行の回復です。観光客の多くは、旅行中に免税品や高級ブランド、地元の特産品を購入することを目的の一つとしており、空港などの施設では、購買意欲の高い旅行者の来店数が急増しています。

しかし、ここで大きな課題となるのが、インターナショナルな旅行者に対する「決済の壁」です。多くの旅行者は、「使い慣れた決済手段が使えない」と判断した時点で購入をあきらめてしまう傾向があります。そのため、観光客が普段使っている決済手段や、現地通貨での支払いに対応することが、ブランドにとって不可欠になっています。

香港の例を見てみましょう。2024年、香港は延べ4,450万人の観光客を受け入れました。そのうち、中国本土以外からの訪問者は1,050万人で、過去と比較して44%の増加となっています。

この需要に応える形で、香港政府は今後5年間で1,200億香港ドル(約155億米ドル)を投じる観光戦略を打ち出し、中東・東南アジア・中国本土からの旅行者を中心に、さらなる誘致を目指しています。

ところが、多くの香港小売業者がこの機会を活かしきれていないのが実情です。調査によると、55%の世界の消費者が、希望する決済方法が使えなければ購入を取りやめると回答しているのに対し、香港の小売業者で「国際的な決済手段」に対応しているのはわずか22%にとどまっています。つまり、グローバルに対応したデジタルウォレットや、通貨変換に対応したクロスボーダー決済、スムーズな決済体験を提供できなければ、高額購入が期待できるインバウンド顧客を逃す可能性が高いということです。

AIで進化する不正対策

APAC地域におけるEコマースの成長に伴い、決済の不正利用も増加しています。 新しい決済手段やチャネルの登場により、セキュリティ上の脆弱性が生まれ、不正利用犯たちはこれを巧みに突いています。特に、モバイル決済、BNPL、オンラインマーケットプレイスなどでその傾向が顕著です。

その結果、不正防止はAPACの企業にとって最重要課題の一つとなっており、最新テクノロジーを活用した対策の導入が進んでいます。実際、APACの企業の80%以上が、AIを活用した不正検知ソリューションを導入しており、リアルタイムでの決済保護を実現しています。

こうした先進的なモデルは、機械学習を活用し、不審な行動パターンを自動的に検知。これにより、誤検知を減らしながら、不正の芽を未然に摘むことが可能になります。

さらに効果を高めるには、生体認証、行動分析、ネットワークインテリジェンスのような技術も組み合わせるのが理想です:

  • 生体認証(Biometric Authentication):指紋や顔認証での本人確認

  • 行動分析(Behavioral Analytics):ユーザーの操作や購入行動を継続的に分析

  • ネットワークインテリジェンス:取引ネットワーク全体からのインサイトに基づく不正検知

もちろん、これらを包括的に管理できる決済プロバイダーを選ぶことが、導入と運用のカギとなります。

旅行・レジャー予約プラットフォームのKlookでは、Adyenのネットワークトークン化を活用して不正対策を行っています。ネットワークトークン化とは、クレジットカード番号などの機密情報を、安全な「トークン(置き換えコード)」に変換する技術です。このトークンは、Klook専用に発行されており、仮に盗まれても他では使用できないため、不正利用のリスクを大幅に軽減できます。この仕組みにより、定期課金やオンライン決済の安全性を保ちながら、ユーザーにとってスムーズなチェックアウト体験も実現しています。

なお、当社の最適化エンジン「Adyen Uplift」は、AIと世界中の取引データを活用し、不正な取引は即座にブロックしつつ、正当な顧客の決済はスムーズに承認されるよう最適化しています。

A laptop showing a security shield and an updated credit card.

変わらない本質

2025年のAPAC地域は、経済全体に前向きなムードが広がり、企業にとって数年先まで見据えた大きなチャンスが生まれています。旅行、小売、投資の各分野が勢いを増すなか、この地域が今まさに成長に向けたフェーズに入っていると感じられます。つまり、成長する意欲のある企業にとって、これまでにないポテンシャルが広がっているのです。

もちろん、決済のトレンドは日々進化していますが、「優れた顧客体験の提供」と「不正対策への先回り対応」というビジネスの基本原則は今も昔も変わりません。これらを同時に追求するのは簡単ではありませんが、正しいテクノロジーと信頼できるパートナーを選ぶことで、企業は柔軟に適応しつつ、本来の成長に集中することができます。

APAC地域の決済トレンドにどう対応すべきかお悩みでしたら、決済のエキスパートにいつでもご相談ください。

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