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シングルアクワイアリング、マルチアクワイアリングとは?そのメリットとデメリットについて
加盟店にとって、アクワイアラーの選択はビジネスへのインパクトを考慮すると大変重要ですが、何を基準にどのアクワイアラーを選べばよいかわからないという人も多いのではないでしょうか。 この記事では、アクワイアラーを選ぶ際に重要な要素となる、シングルアクワイアリング方式とマルチアクワイアリング方式の違いを解説します。
加盟店にとって、アクワイアラーの選択はビジネスへのインパクトを考慮すると大変重要ですが、何を基準にどのアクワイアラーを選べばよいかわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、アクワイアラーを選ぶ際に重要な要素となる、シングルアクワイアリング方式とマルチアクワイアリング方式の違いを解説します。
アクワイアラー、アクワイアリングとは?
アクワイアラーとは、日本語で「獲得者」「取得者」などの意味があり、加盟店の開拓や審査・監理、イシュアーへの購入代金請求、加盟店への支払い(アクワイアリング)を行う会社のことです。日本ではクレジットカード番号等取扱契約締結事業者として登録されている金融機関を指します。
クレジットカードの決済機能の仕組みを支えているのは、アクワイアラーの他、国際ブランド・イシュアーの3つのプレイヤーです。国際ブランドとは、国際的な決済機能を提供している事業者で、VisaやMastercard、JCBなどが該当します。またイシュアーとは、日本語で「発行人」「発行者」という意味があり、クレジットカード利用者と契約し、カードの発行をおこなう会社のことです。
アクワイアリングについて、より詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
シングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングの違い
アクワイアリングには、シングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングの2種類の方式があります。
シングルアクワイアリング → 1つの加盟店が1つのアクワイアラーと契約
マルチアクワイアリング → 1つの加盟店が複数のアクワイアラーと契約
日本では、現在の国際ブランドが確立する以前、加盟店はアクワイアラーとイシュアーが同一の複数のカード会社と契約をしてそれぞれのカードを取引できるようにする「オンアス契約」をしていました。その名残から、日本ではマルチアクワイアリングが主流となっています。一方、欧米ではシングルアクワイアリングが主流です。
シングルアクワイアリングのメリットとデメリット
シングルアクワイアリングでは、加盟店は1つのアクワイアラーと契約するだけで、そのアクワイアラーの持つ多様な決済方法をECサイトや店舗で提供できるようになります。
また、アクワイアラーが各国にアクワイアラー事業を展開している場合、各国で新たにアクワイアラーと契約する必要がなく、グローバルで統一された施策やオペレーションをおこなうことができるなど海外展開が容易になります。
その反面、シングルアクワイアリングでは複数のアクワイアラー間での手数料競争が発生しません。そのため、マルチアクワイアリング方式に比べて加盟店の手数料負担が高止まりする可能性はあります。
マルチアクワイアリングのメリットとデメリット
マルチアクワイアリング方式ではアクワイアラーが分散するため、トランザクション(取引)の振り分けが必要です。トランザクションの振り分けをおこなうには、カード番号を加盟店を通じて処理する必要がありますが、日本ではPCI:DSS(クレジットカード業界のセキュリティ基準)を取得していない場合、チャネルやビジネス単位にアクワイアラーを分散する程度にとどまってしまうケースがあります。
また、加盟店はアクワイアラーごとに契約手続きをし、取引や精算などの管理をそれぞれする必要が生じるため、業務の負担が増える点はデメリットといえます。 その他、それぞれのアクワイアラーが持つ機能が違うこともあり、十分に最新の機能を利用できないなどメリットを活かしきれないこともありえます。
一方で、マルチアクワイアリング方式は、同じ国際ブランドでも1つの加盟店に対して複数のアクワイアラーが契約できるため、アクワイアラー間の手数料競争が生じ、加盟店の手数料負担が軽減される傾向があります。 ただし、規模が小さい加盟店はアクワイアラーの利益貢献度が小さいため、アクワイアラー間の手数料競争が生じにくく、手数料交渉に応じてもらえない可能性もあります。
アクワイアリング方式選定がビジネスにとって重要な理由
上述のシングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングの特徴を踏まえたうえで、次にアクワイアリング方式の選定がビジネスにとってなぜ重要なのかを説明します。
アクワイアリング方式選定が加盟店のビジネスで重要な理由は以下のとおりです。
加盟店の収益性
管理コストの問題
アクワイアラーに支払う加盟店手数料は、加盟店の収益性において重要な要素といえるでしょう。そのため、手数料率を確認することが重要です。
また、管理コストも加盟店が収益性で考えなければならないことです。 複数のアクワイアラーと契約することで契約管理のみならず、精算やチャージバック対応、不正に対する問い合わせ対応、加盟店情報のアップデートや管理基準に向けた対応などの日常業務が煩雑になりコストがかかる可能性があります。
そのため、アクワイアリング方式を選定する際は、加盟店手数料および管理コストを勘案していく必要があります。
シングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングの選定基準
シングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングはどのように使い分ければよいのでしょうか。ここでは、両者を選定する際の基準をご紹介します。
シングルアクワイアリングが推奨されるケース
例えば、海外展開している企業の場合、海外のアクワイアラーと契約をすることもあるでしょう。しかし、仮に海外で不正利用などのトラブルがあったら、加盟店は海外のアクワイアラーと直接やり取りして問題を解決しなければなりません。
その点、契約するアクワイアラーが海外でのアクワイアリング権を持つ場合においては、シングルアクワイアリングであれば、その1つのアクワイアラーとやり取りをするだけで済みます。加盟店はそのアクワイアラーの管理基準に従って業務をすればよいため、管理コストを抑えたい企業や海外展開を視野に入れている企業は、シングルアクワイアリング方式を選ぶとよいでしょう。
また、複数のブランドを取り扱っているリテール企業のECサイトの場合、不正利用のリスクだけでなく、各ブランドの管理のしやすさという観点でもシングルアクワイアリング方式が適しています。
シングルアクワイアリングではアクワイアラー間の手数料競争が起きにくく、手数料が高止まりする点を気にされる人もいるでしょう。しかし、手数料競争が生じるのは大規模の企業に限られます。中小規模の加盟店であればシングルアクワイアリング方式を選び、アクワイアラー管理にかかる事務コストを抑えたほうが賢明です。
マルチアクワイアリングが推奨されるケース
一定の規模を持った加盟店であれば、アクワイアラーが手数料交渉に応じてくれる可能性があります。規模が大きく、手数料を抑えたいときは、マルチアクワイアリング方式を検討するとよいでしょう。
ただし日本でビジネスをおこなう加盟店は、PCI:DSSを取得してアクワイアラー間の振り分けができる、もしくはチャンネルごとにアクワイアラーを分けるなど加盟店側でビジネスデザインを含めたシステム対応が必要になる点には注意が必要です。
また、アクワイアラーごとに対応している決済方法がカードやウォレット、QRのように異なり、自店舗で各決済手段が必要な場合には、マルチアクワイアリング方式を選定せざるをえないケースもあります。
結論
以上のとおり、シングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、しっかりと比較検討するようにしましょう。
ただし、どちらの方式が自社に合っているかは、業種や事業の規模、販売形態(店舗かインターネットか)などで異なります。この記事を参考にシングルアクワイアリングとマルチアクワイアリングの違いを理解し、自社にあったサービスを選びましょう。
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