ガイドとレポート

オンライン決済における不正利用を防止するには、積極性と協力体制が重要

3回にわたる不正利用防止ブログシリーズのパート2では、不正利用に対する究極の対策である積極性と協力体制についてご紹介します。

19 5月, 2023
 ·  6 分

積極性と協力体制は、オンライン決済における不正利用への対策として強力な組み合わせとなります。

積極性は盾の役割を果たし、被害が発生する前に不正利用を食い止めるための対策を講じることができます。

しかし、どのような盾にも弱点はあります。そこで登場するのが、専門知識と情報を持った各チームによって強固な防御ネットワークを構築する協力体制です。

各チームの知識を共有し、組み合わせることで、より効果的に不正利用を防止することができます。組織は不正利用をより正確に特定し、防止できるため、関係者全員にとってより安全な決済環境を実現することができるのです。

本ブログでは、事業者が既存の不正利用防止ツールや戦略を活用し、外部の関係者と連携して、決済環境の安全性を高める方法について説明します。

既存の不正利用防止戦略とツールをより効果的に活用する方法

データサイロは不正利用犯にとって非常に好都合です。したがって、組織の各部門でのサイロ化を解消することが、効果的な不正利用防止への第一歩となります。

データドリブン文化の推進

不正利用対策チームがデータドリブン文化を推進するために採用できる戦略をいくつかご紹介します:

- 情報共有を重視するデータドリブン文化を推進する。

- データ構造を標準化し、異なるソースから成るデータ分析を簡易化する。

- データウェアハウスや統合プラットフォームに投資し、データを一元管理する。

また、不正利用対策チームは部門横断的なチームを構築し、データ可視化ツールを使用して、協力体制とデータ共有を促進することができます。こうした戦略を実施することで、不正利用対策チームはデータをより包括的に把握できるようになり、より効果的な戦略を策定できるようになります。

攻めと守りのバランス

多くの事業者は、決済の不正利用=ビジネスを行う上で避けられない「コスト」とみなしています。これは、不正利用を完全に撲滅するためのコストが、不正利用ゼロのビジネスがもたらす利益(本物の買い物客をブロックしてしまう誤検知に起因する、多大な売上損失や顧客体験の低下)を大きく上回ることがあるためです。

優れた不正利用防止戦略とは、攻め(積極的な不正利用防止対策)と守り(不正利用防止によるビジネス上のマイナスを高い確率で回避できる適切な防御)の最適点を見つけることであり、フィードバックを繰り返して改善し続けることです。

リスクソリューションプロバイダーの専門知識の活用

リスクソリューションプロバイダーの専門知識の活用は有効な選択肢である一方、事業者のビジネスを熟知しているのは事業者自身であることを認識することが大切です。専門家への完全なアウトソーシングは良い選択肢のように思われるかもしれませんが、自動運転車両が事故を起こさないために人間の判断を必要とするのと同様、人間による監視を維持することも重要です。

リスクソリューションを決定する際には、業界に精通し、同業他社に高い実績を上げているプロバイダーを選びましょう。また、自社のビジネスとその固有のリスクについて透明性を確保し、テクノロジーだけに頼らず、人間の監視を取り入れ、取引やトラブルを常に監視するようにしましょう。

リスクソリューションプロバイダーの有効性を継続的に検証し、必要に応じて戦略を調整することも大切です。さらに、不正利用防止に関する最新のトレンドやテクノロジーを常に把握し、不正利用防止の最先端を行くプロバイダーと連携していきましょう。

エンドツーエンドでインハウスの不正利用管理システム

大企業の中には、エンドツーエンドの不正利用管理システムで不正利用防止を内製化することを好む企業もありますが、あらゆる分野のエキスパートになることは必ずしも実現可能ではないことを認識する必要があります。ソリューションプロバイダーの専門知識を活用することで、企業は顧客体験のさまざまなポイントに接続し、特に不正利用に対処する際の意思決定の精度を最適化することができます。

外部との連携による不正利用防止対策の強化

業界全体の問題として、不正利用の防止は一社だけの責任ではなく、決済エコシステムに関わるすべての人を巻き込んだ総合的な取り組みであると言えます。

業界全体の取り組みに参加する

不正利用防止ネットワークや、不正利用防止に焦点を当てたカンファレンスに参加するなど、業界全体の取り組みやイニシアチブに参加することで、決済業界と連携することができます。このブログシリーズのパート1で紹介したように、Marchant Risk Councilは、他の決済専門家と連携して解決策を見出すためのリソースとして活用できる画期的なコミュニティです。

決済プロセッサや銀行と重要な情報を共有する

また、決済プロセッサと緊密に連携して情報を共有し、効果的な防止対策を策定することで、不正利用の特定と防止に取り組む必要があります。

例えば、ある口座で不審な取引のパターンに気づき、その口座が不正利用の標的となっている疑いがある場合、決済プロセッサに連絡して不審な取引を報告し、取引の時間、金額、場所などの情報を共有できます。

決済プロセッサはこの問題を調査し、不正利用の疑いがある業者からのさらなる取引をブロックできるため、事業者の金銭的損失を防ぐことができます。事業者と決済プロセッサが連携し、情報を共有することで、より安全な決済環境を構築し、不正利用を阻止することができます。

決済業界とのベストプラクティスの導入

不正利用防止のベストプラクティスを導入し、決済業界と連携することも可能です。例えば、顧客に対して2要素認証(2FA)を導入することで、取引の安全性を高めることができます。

また、機械学習アルゴリズムのような不正利用監視ツールを使用して、疑わしい行為をリアルタイムで検出し、不正利用を防止するための適切な措置を講じることも有効です。

さらに、取引ログを定期的にチェックすることで、不正利用の傾向やパターンを特定し、より効果的な不正利用防止戦略の策定に役立てることもできます。

まとめ

オンライン決済における不正利用を防ぐには、協力体制と積極性が不可欠です。事業者、決済プロセッサ、銀行の間で情報を共有することで、不正利用犯を足止めする安全な決済環境を構築できます。

また、不正利用防止のベストプラクティス導入などの積極的な対策を講じると、より安全な決済エコシステムを担保する保護シールドのように働き、最新の不正利用のトレンドや手口を先取りし、ビジネスと顧客を金銭的損失から守ることができます。

不正利用防止ブログシリーズのパート3では、不正利用防止対策の効果を測定し、必要に応じて調整を加えることで、不正利用のリスクをさらに低減する方法について説明します。

不正利用防止ブログシリーズのパート1では、決済環境の変化により新たな不正利用の課題がいかにして生じているのか、またそのリスクを検知し、ビジネスをより確実に守るために何ができるのかについて解説しています。


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