ポテンシャルを解き放つ:決済の最適化によるビジネス成長の促進

Adyen Japan デジタルレポート2024

Person looking at a dashboard on their laptop while holding an iPad

本レポートでは、委託した消費者・企業調査から得られたインサイトを組み合わせることで、デジタル企業がコストとコンバージョン率の間で適切なバランスを取る方法を明らかにしていきます。

34,000

人を超える消費者


8,800

社以上の企業


23

の国と地域


持続可能な成長への複雑な道のり

Adyenのデジタル担当グローバル責任者であるTrevor Niesは、「デジタル企業にとって、決済の最適化は非常に大きな関心事となっています」と述べています。デジタル企業各社が不安定なマクロ経済情勢を乗り切ろうとしている中で、持続可能な収益性を確保するための道のりはさらに複雑化しています。これは当社の調査でも裏付けられており、日本のデジタル企業の24%が、高いインフレ率の影響を最大の課題の1つとして挙げています。

日本の企業はこれまで以上に、販売コンバージョン率と収益を高めることで最終的な利益を確保する取り組みに注力しています。実際、調査対象となった日本のデジタル企業の半数近く(43%)は、2024年には昨年よりも収益の向上に注力していると回答した一方、35%はコスト削減を重視していると答えています。

デジタル企業各社は、世界の厳しい経済情勢だけでなく、新技術や進化し続ける顧客の期待にも適応していかなければなりません。これらの期待の内容は、文化、業界、年齢、地域などによって異なります。今ある文化は極めて重要で、消費者がどのようなオンライン決済を行っているかには文化的な要素が多分にあり、マーケットごとに状況が異なります。

大半の消費者は引き続きクレジットカードでのオンライン決済を好んでいますが、世界各地でローカルな決済手段の重要性が急速に高まっています。例えば、Apple PayやGoogleウォレットといったデジタルウォレットはマレーシア(58%)、香港(51%)、シンガポール(48%)で普及が進んでいますが、米国でデジタルウォレットを好む消費者の割合は26%のみにとどまっています。また、後払い決済(BNPL)も注目を集めており、特にノルウェー(38%)、スウェーデン(34%)などの欧州市場で人気が高まっている一方、日本ではわずか2%となっています。また、銀行振込は、ブラジル(41%)や香港(22%)などのマーケットで人気を集めています。

DXがさまざまな業界に広がる中で、企業はどうすれば進化に対応していくことができるのでしょうか。カギとなるのは、視点を変えることです。デジタル企業が競争の激しい業界で優位に立つためには、収益の推進要因としての決済を戦略的に活用する必要があります。

デジタル企業が競争力を維持するためには、決済を最適化し、コストとコンバージョン率の間でバランスを取る必要があります。

日本での主な調査結果

0%

のデジタル企業は、今年、サブスクリプションモデルに投資することを計画している


0%

のデジタル企業は、新たなマーケットへの事業拡大を検討している


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のデジタル企業は、データリッチな決済から得られるインサイトを活用することで、自社の新たな成長分野を見出そうとしている


0%

の消費者は、希望する決済オプションが利用できない場合、購入手続きを思いとどまる


利益のポテンシャルを解き放つ

決済の価値

決済が提供する総体的な価値は、コスト削減だけではありません。決済の最適化は、デジタル企業にとって大きな利益を生み出すチャンスであり、わずかな変更が大きなビジネス価値につながる可能性があります。日本のデジタル企業の46%が決済コストの削減を目指しているものの、顧客体験を向上させ、同時に業務の効率化による利益拡張を実現するためには、決済環境を強化することが不可欠です。これらを達成できれば、事業から得られる利益のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になります。

進化し続けるデジタル業界についていくためには、決済の最適化がもたらし得る価値を考慮に入れる必要があります。この価値を踏まえない企業は、競争で後れを取る恐れがあります。

Person purchasing a subscription on their phone

サブスクリプションモデルの隆盛

サブスクリプションモデルの利用がますます盛んになる中で、日本の企業の67%が今後1年のうちにこのモデルに投資したいと考えています。クレジットカードや現地の決済手段による「一度設定すればその後は忘れてしまっても大丈夫」という形の定期決済は、顧客にとって便利でシームレスです。それでも、日本の消費者の21%は、利用中のオンラインサブスクリプションの数を減らすつもりでいます。

容易に利用できるサブスクリプションプランは数多く存在し、競争は熾烈です。そんな中で顧客にリーチするにはどうすればよいでしょうか。適切な決済プロセッサやプラットフォームを選び、請求プロセスに影響を及ぼす技術的な問題(コンプライアンス、サブスクリプションの解約、不正利用など)を軽減することが重要です。Adyenなら簡単、シームレス、かつ持続可能な定期決済を実現できます。

「サブスクリプション市場は、世界全体で2024年の6,900億ドルから2028年には9,000億ドル以上に成長すると予測されています。また、サブスクリプションの拡大につれて、エンドユーザーはより柔軟な利用オプションを求めるようになり、ビジネスモデルはますます複雑化しています。グローバルな規制、収益課題、リテンション戦略と同時に、企業は適切なパートナーに投資することで、既存市場により深く浸透し、グローバル展開を可能にし、解約を減らす必要があります。」

Imran A Hajimusa 氏Chargebee、決済&フィンテックサービス ゼネラルマネジャー

優れたカスタマージャーニーを構築し、コンバージョン率を向上

現地での適切な決済手段の提供からシームレスな顧客認証フローの構築に至るまで、決済環境を最適化できれば、顧客体験とコンバージョン率に段階的かつ長期的なメリットをもたらすことが可能です。実際、日本の消費者の43%は、希望の決済手段がデジタル企業から提供されることを、11%はリダイレクトなしで簡単に決済認証ができることを望んでいます。

ベストバランス:決済手段の組み合わせの最適化

現地ユーザーの好みを反映した最新の決済オプションを幅広く提供することが、スムーズな決済体験とコンバージョン率の向上を実現する上でのカギとなります。実際、調査対象となった日本の消費者の61%は、希望の決済手段がオンラインで利用できない場合、購入手続きを思いとどまります。また33%は、カートに入れた全商品の購入手続きをやめてしまいます。

決済手段を選定する際には、次の3つの要素を考慮する必要があります。

  • 地理的条件 – 貴社の顧客はどこにいるか?

  • 人口統計的条件 – 貴社の顧客はどの年齢層に属しているか?

  • 購入の経緯 – 貴社が販売しているものは何か?

迅速な取引とクイックウィン

オンライン決済体験を改善し、コンバージョン率を高めるもう1つの方法は、「クリック決済」機能を提供することです。このタイプのエクスプレスフローでは、顧客は数回のクリックのみで支払いを完了することができます。決済情報を安全に保存するため、顧客が購入のたびに自分の情報を入力する必要がなくなります。

エクスプレスフローは、そのデジタル企業のアカウントを作成していない顧客がゲストとしてチェックアウトする際に特に便利です。このソリューションにより、顧客は情報を入力しなくても取引を完了できるようになるからです。

当然ですが、消費者はエクスプレスフローの便利さに気づき始めています。日本の消費者の14%は次回以降のために自分の情報を記憶しておくオプションを用意するようデジタル企業に求めており、11%はゲストチェックアウトの提供を希望しています。

シームレスなチェックアウト体験

顧客がチェックアウトページに到達する瞬間は、これまでの努力が実を結ぶ時です。ここで顧客は決済情報を入力して購入を完了しますが、まだ販売取引を確定させる手順が残っています。

Adyenなら、モバイル用に最適化された安全なチェックアウトプロセスを数分で実現することができます。それにより、優れた決済体験を提供し、販売コンバージョン率の向上をサポートします。また、Adyenでは、単一のバックエンド統合によって複数の実装オプションをご用意しており、これによってデジタル企業は各顧客の期待やニーズに合った体験を創出できるようになります。

スムーズな認証エンジン

多くの消費者にとってセキュリティの問題は、引き続き最大の関心事です。日本の消費者の三分の一以上(38%)が、オンライン取引の認証時にバイオメトリクス、特に指紋認証や顔認証を利用しています。そして、欧州、インド、オーストラリア、日本などの世界中で、こうした認証の利用を義務付ける規制が導入されつつあります。

デジタル企業にとってカギとなるのは、最高の認証体験を用意し、利便性とセキュリティの間でバランスを取ることです。決済イノベーションを活用すれば、企業は不正利用を今まで以上に迅速に検知・予防し、その悪影響をスマート認証により低減することが可能になります。

認証プロセスの中には、複数のウェブページを開いたり、タイムアウトが発生したり、追加のログインが求められたりして、チェックアウトフローに望ましくない煩わしさを生じるものもあります。より洗練された決済ソリューションでは、必要な場合にのみ消費者の認証を行います。当社のグローバルプラットフォーム上では、リスク管理システムによって収益の5%超を自らブロックしている企業が多いのですが、3Dセキュアのフローを最適化することにより、こうした取引の誤検知の大部分を回避できる可能性があります。そのために、リスクベース認証では簡単な認証フローを活用しています。

顧客からの信頼を得ることは、適切な取り組みを行う十分な理由となります。日本の消費者の11%は、リダイレクトなしで簡単に決済認証ができる機能をデジタル企業に求めています。認証の利用を義務付ける規制があるマーケットでは、デジタル企業は、煩わしさのない決済認証フローの構築とコンプライアンスの確保とをバランスよく両立させる必要があります。他方、規制による義務がないマーケットでは、不正利用を減らし、決済セキュリティを強化するためのツールとして認証を活用することできます。

Adyenの関連決済データをご活用いただければ、認証プロセスの最適化が可能です。詳細はこちらでお読みいただけます。

収益の最適化による利益の拡張

決済環境を最適化すれば、顧客体験が向上し、売上も増加します。さらに、AIや自動化と組み合わせることで、収益に多くのメリットをもたらせます。

Adyenの戦略企画および実行担当責任者であるAmber Bienfaitは、「従来的な決済環境に当社のフルスタックソリューションを導入すれば、平均2%の決済コスト削減が可能となり、取引の数が増えるほど多額の追加収益を得られます」と述べています。

収益の最適化によって利益を拡張する方法の1つは、支払い拒否になった決済額のリカバリーです。支払い拒否に関しては誰かが悪いということではありません。支払い拒否になる理由は数多く存在します。以下に、最も一般的な理由をいくつか挙げます。

  • 資金残高の不足:支払い拒否になる最も一般的な理由の1つです。取引を完了するために十分な資金が顧客の口座に残っていない場合に発生します。

  • 技術的な問題:顧客はカードブランドとイシュアーの間のエラーを認識できません。こうした場合、「技術的なエラー」のようなメッセージが表示されることがあります。また、バックエンドでは、決済フォームがタイムアウトした結果、顧客が決済フローから脱落してしまうケースもあります。

  • メッセージ形式の誤り:各イシュアーは、それぞれ異なるリスク傾向やテクノロジーを有しており、その内容はメッセージにも反映されます。例えば、CVCや有効期限のデータについて、イシュアーごとに異なる形式が採用されている場合があります。

スマートな決済リカバリー

決済のリカバリーには、かなりの業務リソースが求められる場合がありますが、必ずしも手動でおこなう必要はありません。Adyenの収益最適化ツールであるRevenueAccelerateは、AIとスマートロジックにより収益の向上に貢献します。

RevenueAccelerateに含まれる2つのソリューション、Auto RetriesとAuto Rescueは、支払い拒否のスマートな決済リカバリーを行うために役立ちます。

Auto Retries:この機能は、拒否された取引についてミリ秒以内に自動的にリトライを行うことで、技術的なエラーや障害による拒否を最小限に抑えます。同じ接続または二次接続と当社のプラットフォームデータを利用して、成功の確率が高い場合にのみリトライを行います。自動リトライが成功するたび、国際ブランドの手数料の追加負担を回避できます。またAIにより、最適なフォーマットのタイミングやリトライを行うべきでないタイミングを判断することも可能です。このソリューションは、最初の試行で失敗した取引の最大80%をリカバリーし、ビジネスのコンバージョン率を最大限に高めることができます。

Auto Rescue:このソリューションでは、当社の幅広い決済データに基づくスマートロジックを使用し、失敗した取引のうち成功する可能性があるものをリトライします。加盟店様のオンラインビジネスに代わって、最適なタイミングでリトライを行います。Auto Retriesとは異なり、Auto Rescueは後の日時に再試行を実施するため、サブスクリプションビジネスに最適です。

「Adyen が提供するシームレスな決済プラットフォームの実装を決めたのは、高速で安定的な決済処理を実現することで、セール開催期間中であっても、お客さまに快適な買い物体験を提供できると考えたからです。Adyen の決済プラットフォームは今後も、着実に成長するEコマース市場において、安定的な取引環境の提供に大きく寄与すると考えます。」

田中裕治 氏eBay Japan、Head of Japan Controllership

グローバルな複雑性をシンプルに

Person looking at a payments overview on their laptop

断片化された決済エコシステムをナビゲート

多くの取引の舞台裏には、断片化された決済エコシステムが存在しており、全体を通して複数の関係者が関与しています。この断片化された決済エコシステムをナビゲートするのは複雑で、デジタル企業は労力、時間、コストを費やすことになります。

複雑さをもたらす理由の1つは、利用可能な決済代行会社(PSP)の数が非常に多いことです。市場が飽和状態にあるため、協業先の最適なPSPを選ぶのが難しく、多くのデジタル企業は複数のPSPと同時に提携しています。現在では日本のデジタル企業の60%が4~7社のPSPと協業しています。これほど多くのパートナーがいると、日本のデジタル企業の48%が突合/照合のプロセスを複雑だと感じていることや、18%は決済業務を効率化する目的で協業先のPSPの数を減らしたいと考えていることは不思議ではありません。

Adyenのようなオールインワンの金融テクノロジープラットフォームをご利用いただければ、断片化された決済エコシステムをナビゲートする複雑さを軽減できます。単一のソリューションによってエンドツーエンドの決済、データ、財務管理が提供され、全取引のレポート業務や突合業務をワンストップで管理できるようになります。

さらに、当社はクレジットカードの国際ブランドや銀行ネットワークに直接接続しているため、加盟店様のご希望の通貨でご都合の良い時に決済を行うことができます。確定した支払いについて、毎日、毎時間、または即時決済することが可能で、資金フローから不必要な遅延や第三者を排し、業務効率の向上をサポートすることができます。

また当社は、EU、英国、米国で銀行免許を取得しており、業務効率のさらなる向上をサポートできます。この銀行免許により、他の銀行に頼らずに決済処理を行うことが可能で、より迅速な決済、より高度な自動化、そしてより高い安定性を実現しています。

ブランドフィー(スキームフィー)とインターチェンジフィーについて

オンライン決済コストの核となるのが、ブランドフィーとインターチェンジフィーです。ここに少し手を加えるだけで、ビジネス価値をさらに高めることができます。そのような場合に使えるのがAdyenの「Interchange++」価格設定モデルです。これは他の価格設定よりも透明性が高く、何に対していくら支払っているかを常に正確に把握できるようになります。ブランドフィーとインターチェンジフィーの変更によるコスト削減の成果は、加盟店様にすべて直接還元されます。

Two people sitting in front of a window

ローカルの専門知識を活かしてグローバルに展開

日本のデジタル企業の過半数(53%)は、新しいマーケットへの展開を計画しており、中国、米国、韓国をトップ3のターゲットとして見ています。

世界中からのオンライン決済を受け付けたいと考えているデジタル企業にとっては、現地の決済手段に対応することが不可欠です。ローカルアクワイアリングを利用した決済処理は、コストを抑えられるだけでなく、オーソリ承認率の向上にも効果的です。つまり、一挙両得となるわけです。しかし、取引コストを削減するために現地のアクワイアラーと積極的に協業している日本企業の割合は、わずか23%にとどまっています。

そこで、Adyenの出番です。Adyenは、コストのかかる国際取引の代替策(現地の決済手段など)を導き出し、企業各社の取引コスト削減をお手伝いしています。これにより、決済環境から最大限の価値を引き出すことが可能になります。

さらに、Adyenのような単一のプラットフォームにローカルアクワイアリングを統合すれば、現地の決済手段を簡単に追加できるようになります。しかも、すべての地域とチャネルにわたり、共通の1カ所で決済データを表示できるため、複雑さを軽減し、業務効率を高めることができます。その結果、決済手段とパフォーマンスを簡単に追跡し、トレンドを把握し、ロイヤルカスタマーについて理解を深めることが可能になります。

ネットワークトークンの運用上の利点

クレジットカード情報の保存は、オンライン決済に革命をもたらしています。ネットワークトークン化は、16桁のPANをネットワークトークンと呼ばれる機密性のない参照文字列に置き換える自動化プロセスで、オンライン決済や定期的な決済の承認に使用されます。

消費者がカード情報の保存を選択すると、デジタル企業はそのカードのネットワークトークンをリクエストし、将来の支払いに使用することができます。ネットワークトークンは有効期限がないため、イシュアーがカードを再発行してもトークンは有効であり、その結果、承認率が向上します。

グローバル展開におけるコンプライアンスと認証のコストを削減

グローバル規模になると、決済エコシステムのナビゲートはさらに複雑になります。日本のデジタル企業の21%は、現在自社が直面している最大の課題の1つはさまざまな市場における規制上の要件への対応であると認識しています。各国の法律、カードブランド、グローバルな決済処理の複雑さに対処しながら、同時に決済システムの最適化を図るのは、容易なことではありません。

国際的な事業拡大を行うにあたってコンプライアンスと認証のコストを削減するには、グローバルなフィンテックプラットフォームを利用することが不可欠です。これによりデジタル企業は、国際的な事業拡大のコストを大幅に削減できるだけでなく、世界中のクレジットカードとの接続や現地の決済手段のシームレスな提供が可能になります。その結果、企業はグローバルな複雑性を軽減し、コンバージョン率を高め、決済処理のコストを削減することができます。

加盟店様のあらゆる事業展開先に対応

Adyenは世界中で展開しています。貴社の事業展開に合わせて、グローバルな銀行インフラと現地のライセンスを備えた当社のグローバルな加盟店管理プラットフォームを最大限にご活用ください。当社と提携いただければ、複雑な現地規制を簡素化できます。また当社は、欧州の決済サービス指令2(PSD2)や決済サービス指令3(PSD3)などの規制に関するガイダンスを提供しながら、お客様のビジネスが世界のどこでもオンライン決済を受け付けられるように支援します。

「Adyenのローカル決済サービスは、私たちにとって大きなメリットです。決済手段を一つ一つ統合する必要はなく、Adyenとの関係だけに集中すればいいのです。」

Michelle Xue 氏Klook、決済ソリューション、アソシエイトディレクター

決済処理の枠を超える

戦略的成長にズームイン

DXがさまざまな業界に広がる中、オンライン経済は飛躍的に成長し、進化を続けています。デジタル企業は、変化に適応し続けながら、同時に革新的なパートナーと協業して戦略的成長に注力する必要があります。

適切なフィンテックプラットフォームを利用することのメリットは、単なる決済業務のみにとどまりません。決済、データリッチなインサイト、顧客ロイヤルティ、リスク管理、そして銀行インフラを統合したプラットフォームは、企業がイノベーションと成長に向けた取り組みを実現する上でのカギとなります。

企業各社は、決済処理の枠を超えた対応の必要性を理解し始めています。日本のデジタル企業の70%は、決済データが業務プロセスの合理化に役立つと回答しており、また、72%は、決済データは顧客が求める新しいサービスやソリューションの提供に役立つと考えています。

Illustration of a laptop with multiple layers shown

変化を受け入れ、革新的なパートナーシップに投資する必要性を認識している企業は、利益を最大化し、進化し続ける業界で優位に立つことができるでしょう。

「決済データを活用することで、顧客の行動や嗜好に関する実用的なインサイトが明らかになります。企業はトレンドを予測し、顧客とのコミュニケーションをパーソナライズし、戦略を最適化することが可能に。このプロアクティブなアプローチは、イノベーションを促進するだけでなく、急速に進化するマーケットにおける回復力や適応力を強化します。」

Sulabh Agarwal 氏Accenture、決済部門グローバル責任者

顧客ロイヤルティの構築

デジタル企業は、決済データを活用すれば、よりパーソナライズされた適切かつ安全な体験を提供し、ロイヤルティを高めることができます。顧客は、利便性とよりカスタマイズされたショッピング体験を、自分が愛し、信頼するブランドに求めています。実際、日本の消費者の20%は、よりパーソナライズされた割引があれば、企業へのロイヤルティを維持しやすいと答えています。

Illustration of a digital payment

決済データは、顧客の支払い履歴に基づく360°のビジネス概要を作成するために役立ちます。これにより、顧客のニーズ、希望、好みを明らかにでき、顧客体験の向上、ロイヤルティの構築、新規顧客の獲得、そして収益の拡大につながります。オンラインプロモーションやロイヤルティプログラムの最適化から、パーソナライゼーションの改善、新しく進出するマーケットにおける消費者の期待への対応に至るまで、決済データは戦略的な意思決定において重要な役割を果たします。

日本のデジタル企業の44%は、決済データを活用して顧客への理解をすでに深めていると回答しています。さらに、27%はロイヤルティプログラムにも投資しています。決済データを活用し、顧客ロイヤルティを構築する取り組みは極めて重要です。それをしないオンラインブランドは、競争で後れを取る恐れがあります。

不正利用対策

決済の不正利用は広く発生しており、日本のデジタル企業の64%は、決済の不正利用やチャージバックが大きなコスト増を招いていると回答しています。決済の不正利用は実店舗や電話でも発生していますが、オンライン決済の不正利用が最も多く、最も急速に増加しています。また、テクノロジーの進歩がこの傾向をさらに増加させています。例えば、ワンクリック決済の普及のために、銀行が不正利用を検知して阻止するのがより困難になっているほか、システムに対する大規模な不正行為をダークウェブが助長しています。

日本のデジタル企業は毎年平均267,343,910円を不正利用により失っており、彼らの18%は2023~2024年の間に不正利用の発生率が増えたと回答しています。幸いなことに半数超(52%)は、同期間中に不正利用の発生率は減少したと回答していますが、これは多くのデジタル企業が採用しているリスク管理戦略が不正利用の減少に有効であることを示しています。しかし、テクノロジーの進歩に伴い、不正利用犯たちはシステムを欺くためにより巧妙な手法を開発し続けています。

リスクと収益の持続可能なバランスを保つ

企業はそれぞれ異なるため、自社の独自の課題に合わせてリスク管理もカスタマイズする必要があります。ここでは、不正利用の検知、予防、対応の取り組みを通じて、リスクと収益の適切なバランスを保つためのヒントをいくつかご紹介します。

検知:企業間の履歴データやプラットフォームをまたがるデータを使用する不正検知テクノロジーを介して、すべての販売チャネルで真正な顧客を認識し、不正利用犯を特定します。このテクノロジーでは、特定のリスクの高い業界セグメントや地域に合わせてさらに細かく設定を変更し、異常を検知することができます。 決済の時点で、企業は初回利用の顧客に対しては次回以降の購入のために詳細情報の提供を求め、その後にパスワード、CVV、または生体認証方式で認証を行うことができるため、ブランドは今後その顧客を認識できるようになります。

予防:リスクルールと機械学習を組み合わせることで、完全な管理を維持し、業務負荷を軽減します。ビジネスニーズに合わせてカスタマイズされたリスクルールを使用し、3Dセキュアによって顧客が本物であるかを検証するほか、高額の取引については手動で確認を行います。

対応:リスク環境を調整して最適化することで決済の承認率を高め、チャージバックを減らします。また、どのリスク管理アプローチがビジネスに最も合っているかをテストします。

DXがさまざまな業界に広がるにつれ、不正利用犯が決済の不正利用をする機会は増え続ける一方です。つまり、企業はより良く、より安全な顧客体験と決済フローを提供する必要があります。RevenueProtectは、Adyen独自のリスク管理ソリューションで、不正利用の検知、予防、対応に役立つさまざまなツールを備えています。

Adyenは、幅広い決済データと豊富な顧客データを機械学習の力と組み合わせることで、最善の正確なリスク判断を行い、最新のリスク動向を把握しながら、不正利用に効果的に対処しています。例えば、顧客のメールアドレスを包括的な顧客データと照合することにより、誤検知率を40%も削減することができました。

「日本は現在、キャッシュレス拡大の比率よりも不正取引の増加率の方が上がっているという状況で、しかもその大半がEコマースです。また、不正をアタックする側からすると、日本は今、狙われやすい国になってしまっています。そのイメージを払拭するためにも、3Dセキュアの導入は一つのメッセージになります。」

矢嶋浩明 氏クレジット取引セキュリティ対策協議会 EMV 3-Dセキュア タスクフォース座長/三菱UFJニコス株式会社 フェロー

総括

鉄は熱いうちに打て

今回の調査では、デジタル企業が2024年に決済業務を最適化しながら、コストとコンバージョン率の間で適切なバランスを保ち、競争力を維持する必要性が高まっていることが明らかになりました。決済は、適切に最適化できれば、コストセンターではなく収益の推進要因、売上を伸ばす原動力となり得ます。そのためには、企業各社は適切なフィンテックプラットフォームと提携し、最新の決済・金融イノベーションに対応し、決済を成長戦略の重要な要素としていく必要があります。

Adyenのオールインワン型プラットフォームは、デジタル企業が2024年の非常に複雑な課題、すなわち利益の創出、グローバルな複雑性の簡素化、そして決済処理の枠を超えた取り組みをナビゲートできるようサポートします。

当社は、Meta、Uber、Microsoft、eBay、Alibabaなどの一流のデジタル企業と協業しています。シームレスな決済を実現するために、ぜひご活用ください。>

調査方法 この「Adyen Japan デジタルレポート2024」は、世界中のビジネスに影響を与えるグローバルおよびローカルなトレンドを探るレポートです。本レポートでは、23の国と地域におけるビジネスデータと消費者データを、経済に関する解説とあわせてご紹介します。

企業インサイト Censuswide社が、オーストラリア、中国、香港、日本、マレーシア、シンガポール、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、アラブ首長国連邦、英国、ブラジル、メキシコ、カナダ、米国のデジタル企業のシニアリーダー8,822人を対象に調査を実施しました。調査実施期間は、2024年5月31日~6月19日です。

消費者インサイト Censuswide社が、オーストラリア、香港、インド、日本、マレーシア、シンガポール、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、アラブ首長国連邦、英国、ブラジル、メキシコ、カナダ、米国の34,371人の消費者を対象に調査を実施しました。各市場で全国代表サンプル調査を行いました。調査実施期間は、2024年6月3日~19日です。

決済は「売上を伸ばす原動力」に